米ギャラップ社の「2022年グローバル職場環境調査」によると、日本では仕事への熱意や職場への愛着を示す従業員の割合が5%にとどまっています。どうしたら活力ある組織が作れるのだろうと、心理的安全性や内発的動機付け、1on1ミーティング等をテーマにした書籍を読み漁ってみてもなかなか答えが見つからない。そんなリーダーがたくさんいます。
最近ではビッグモーター、SOMPO等の不正問題にも象徴されるように、上意下達や上にものを言えない風土の中でいまだ企業の不祥事も後を絶ちません。一体なぜでしょうか? こうした大きな組織や伝統ある企業ではしっかりとした官僚的組織・制度・ルールが整備されているため、どうしても“やっちゃダメ”の同調圧力が働き、事なかれ主義が蔓延してしまうのです。
制度やルール自体は、効率的であったり一体感を生みやすかったりするといったメリットもあります。また、長い歴史や伝統の中で育まれたものなので、真正面から抗って新しくしていこうとしても勝ち目はありません。現状を一旦は受容し、一方で同志を作りながら、逆の“やっていい”の同調圧力形成に地道にチャレンジするという姿勢こそが、組織を変革していく上で大切なことなのです。
私は長年そのSOMPOでプロパー社員として働いてきましたが、グループ会社の社長就任を機に、徹頭徹尾の“やっていい”で真の信頼関係を構築するラポールリーダーシップを実践。その結果、徐々に仲間を増やしていきながら、約400人の社員が主体的に参画して人事給与制度を作り上げる「パブリックコメント制度」や、会社の意思決定プロセスに社員全員が直接コミットできる社内SNS「週刊PRIDEAY(プライデー)」など、30年超1500人企業の圧倒的主体性発揮につながりました。
同じSOMPOの中にあって明暗を分けた“やっちゃダメ”と“やっていい”。ちょっとした工夫でメンバー全員が活躍できる組織づくりは必ず実現するということを世の中に広く伝えたいと思い、商業出版を目指すことにしました。